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導入事例

その場の学びで終わらせない。研修効果の最短距離は、上司を巻き込んだ組織実践

株式会社ANA Cargo 様

社名 株式会社ANA Cargo 様
研修対象 営業職
実施内容 営業ゲーム、仮説トレーニング、アクションプラン進捗共有会
主テーマ 営業力の普遍的な土台作り
研修ご担当 上席執行役員 業務企画部門 エデュケーションセンター長
大河内 穣 様
エデュケーションセンター 営業訓練室 マネジャー
小寺 晶奈 様
研修受講者 九州販売支店 支店長
齊藤 裕二 様
九州販売支店 国内貨物販売部
川村 実那 様

研修導入背景

専門知識・OJTだけでない、普遍的な強い営業パーソンの育成を

大河内様:ANA CargoはANAグループ貨物事業の中核会社として、貨物事業戦略の立案・輸送商品の開発・マーケティング&セールス・空港オペレーションを担っています。
貨物専用機と旅客機を活用したコンビネーション・キャリアとして、一般的な航空貨物のみならず、貨物専用機でしか運べない半導体製造装置や完成車などの商材や、温度管理や耐震性が求められる特殊性の高い商材などを、世界主要都市へスピーディに輸送することを実現しています。
国際線・国内線のネットワークを駆使し、多様化するお客様のニーズにお応えできることが弊社の強みです。
 
営業教育を検討し始めたのは、2023年からの中期経営計画に盛り込まれた柱の一つである人材戦略の一環として、貨物事業部門全体の人財開発を担うエデュケーションセンターが立ち上がったタイミングでした。それまでは人事の階層別研修や専門的な訓練のみで、営業教育は体系化されておらず、主にOJTに依存していました。業界内の専門的な知識を教えるのは社内でも可能ですが、営業は単純な正解があるものではなく、その人なりの個性や経験年数により差も出てしまう・・・。そこで標準的な知識やナレッジ付与の仕組みを構築すると同時に、一番暗黙知になっている「営業として身につけるべき普遍的な思考や行動」を、強い営業パーソンの土台として整えられないかと考えました。

MVを選んだ理由

実務の目標に連動、即実践できる。どうやって考え動くかの、道筋が見える研修。

大河内様:複数のベンダーさんにも話を聞きましたが、実は営業としての「思考・行動」について普遍的なメソッドを提供し、営業力強化にフォーカスしているところは中々見つかりませんでした。その中でマーケットヴィヴィッド(以下MV)社には、表面的なスキルではなく「優秀な営業の思考・行動」を明文化し、それを参加者の行動・実践に落とし込むメソッドがあった。そこに期待を持ちました。
 
小寺様:研修では、期待通り営業としての「普遍の考え方・取るべき行動」を体系立てて教えていただけました。例えば目標(ゴール)から逆算して考えるといった点は、営業以外の全ての業務に応用できる要素です。日頃当たり前のように聞いたことのある考え方ですが、ゲームでの疑似体験や受講者同士のディスカッションなどを通じて、実務にどう落とし込むかを事前に説明していただきました。
 
一つ懸念があるとしたら、自社業界特有の営業事情とどうリンクできるかという点でしたが、それも配慮していただきました。事前に自社の営業活動について詳細なヒアリングをしていただき、特殊事情を押さえた上で、普遍の考え方をうまく講義の中で紐づけていただけました。
「多くの企業が『うちの営業は特殊だ』と言うが、しかしその特殊性はシナリオの中の一部に過ぎない」という研修冒頭の解説は、受講者にも刺さったのではないでしょうか。おかげで営業ゲームのカードやシチュエーションも、自社の状況と変換して捉えることができ、受講者に響いたようです。

また、研修にとどまらず実務の行動計画(アクションプラン)にまで落とし込める点がとても実践的だと感じました。MV社と相談をしながら、受講者のMBOと連動させ、営業の数字目標に直で紐付ける建付けにしていただきました。また、目標設定やそのプロセスをサポートする役割である上長の巻き込みは必須だと考え、研修全てにオブザーブをさせました。長時間拘束の中で大変だったと思いますが、ここはこだわったポイントの一つです。結果、何を学んだのか?その後、実務でどう頑張っているのか?上司が部下を見てフィードバックする際に褒める場面が増えるなど、とてもいいサイクルが生まれているようです。これにより、いわゆる経験学習サイクルを強化し、「研修と現場の谷」と言われるようなギャップを極小化することにつながっていると実感しています。
当初狙っていた普遍の「思考・行動」を学び、その後の行動変容まで追いかけていただいたことで、どうやって考え動くのか、研修から効果の道筋が見える研修になりました。

営業考動力研修の感想(受講者から)

部下がこんなにも逞しく変化「何をしていいかわからない」から、
「週次でギャップをチェック」するまでに

齊藤様:私は部下が受講生になった際にオブザーブで参加しました。当初全ての研修をオブザーブ出席して欲しいと言われたときは、正直キツイなと思っていましたが、実際に研修の様子や講義を聞くと、目から鱗が落ちる内容で私自身も非常に勉強になりました。それまでは営業教育もなければ営業を熟知したメンバーもいない、営業としてのイロハもないから何をしたらいいのか?ということもあり、私自身もかなり苦戦した経験がありました。管理職になっても部下にうまく言語化出来ない場面も多く、改めて反省する場にもなりました。

川村様:私は以前空港のオペレーション業務をしていましたが、営業異動となり2年目にこの研修を受講しました。2年目で少し余裕が出てきて、右も左もわからなかった1年目を振り返った時、営業として自分の何が足りないのか?をちょうど悩んでいたタイミングでした。この研修のことは先に受講した先輩から、難しいけど面白いから頑張って来いよと言われていて、これは主体的に参加しなければ!と思って臨みました。

「ゲーム」というフランクなネーミングですが、受けてみると自分にとってグサッと刺さる厳しい内容で、営業というものの考え方を全く理解できていなかったのだと深く反省しました。予算達成を目指すためのシナリオや、確率の観点、見積りや提案を出した後、顧客任せにせずに進捗確認するなど、言葉にして共通言語にして教えてもらえたことが、本当にスッと腑に落ちたんです。何より、営業のやり方に正解はなく、自分の意思をもって考えなければいけないところに一番気付かされました。
研修後は、目標計画を立て週次で必ず振り返ることを意識しました。何がどのくらい進捗していて、足りない場合はギャップを埋めるために何をすべきか?自分なりに考えられるようになりました。2年目の早いタイミングで受講できたのは、今後の営業人生にとっても凄く良かったと思います。

齊藤様:実は川村さんのことは当初気掛かりだったんです。今までの業務とは全く違う中で、営業として何をしていいかわからないといった状態で、一人だけ残業も多く一生懸命もがいていたように見えました。でも研修受講後は見違えるほど雰囲気が変わりました。営業活動はこのように考え実践すればいいのか、という本質を理解したというか、モヤが晴れた印象でした。実際、研修後は自分で立てたプランを実践し周囲を巻き込みアドバイスを求めるなど積極的な姿勢で取り組み、徐々に成果が上がり始め、同時にお客様からの評価も得られるように変わってきました。驚いたのは、研修受講した翌月から残業時間もぐんと減ったことです。自分の業務のゴールを見据え、生産的に仕事ができるようになった証ではないでしょうか。

MV研修(営業考動力研修)の効果

九州が支店達成できた時は本当に嬉しかった!皆で感じた手ごたえ。
全ての月で昨年実績を上回った組織の営業会議。

齊藤様:当初、私のチームはフロント営業のうち1名が国内貨物の初担当、他も若手が多いチーム構成で少なからず不安を感じていました。
しかしメンバーの全員がMV社の研修(営業考動力研修)に参加して、会議の発言や中身まで変わり、本当に成長を感じています。

営業会議では、個人はもちろん、九州販売支店としての目指すべき数字と、ギャップをどうしていくか?自分たちはこうしたいと思っているが、どうか?ということを管理職にぶつけてくれるので、有意義な議論の場になっています。彼らは事前準備もしてくるようになったので無駄な時間も減りました。基本は部下の考えを尊重して実践してもらい、カバーするのは私の役目と思っているので、とても良いチームになってきています。何か話すときも、習慣のように「それ、ゴールは?」と問いかけ合っているので、皆当たり前に考えられるようになっているのだと思います。
おかげで、九州の国内貨物は今期全ての月で昨年実績を下回ったことがないんですよ!色々要因もありますが、間違いなくチーム全体の営業力が付いてきたからだと感じています。

川村様:会議については、事前に自分たちで集まって今週の目標を決めているんです。それを実践し続けて、ついに下期のある月で支店目標を達成できたんです。かなり高い目標だったので、厳しいかなと思ったのですが、週次で作戦を考え続けギャップが縮まってきて、あ、行けるかも!と。「今週これとこれが決まれば、来週ギャップはここまでになるから、各担当があとこの位ずつ積み上げれば見えるよ!」と前向きな議論ができました。結果、念願の支店達成が出来て私たちメンバーもとても嬉しかったんです、やれば出来るじゃん、と。追い風もあったかもしれませんが、やってきたことがちゃんと結果につながったのは、皆が手ごたえを感じるきっかけでした。
 
ただその月以降、会議の質が落ちてきたタイミングがありました。先週の振り返りだけで満足していないか?意味がある会議になっているのか?と。その際、齊藤支店長から「なぜこの数字になっているか、立ち戻って分析してみたら?」とアドバイスをいただき、早速自分たちで集まって会議のあり方含めて見直しました。達成したあの月にやっていた会議での議論を再現するために、どう改善していくか?考えた結果、できたのが「週次分析シート」です。週次分析シートは、前週から数字が伸びたか落ちたか?その要因は何か?の分析と、そのギャップに対して今週どう動いていくか取り組み項目3つを決めるフォーマットになっています。『数字の背景で動いているモノの動き』やギャップ、やることが明確になっているので、メンバー間でも共通認識が出来ていますし、こうしたらいいのでは?という意見が活発に出るようになっています。ただ、週次ミーティングの事前打ち合わせもあるので、もっと効率よく進められるようにみんなで改善中です。事前の打ち合わせは最大1時間までとしたいのですが、今はまだ超えてしまうこともあるのでもっと短くできればと思っています。

齊藤様:私も研修オブザーブで学んだことを基にアドバイスしたのですが、ちゃんと意図を汲んですぐに自分たちでミーティングをしていましたし、シートに落とし込んできたのでとても頼もしいなと感じます。川村さんはじめ、皆仕事の仕方や業務の進め方も、効率良く改善されてきたと感じます。
 
川村様:次年度以降はベテランの先輩が異動になる可能性も高く、若手だけで回していかなければならない年になります。今までやってきたことの真価が問われる年になるだろうなと思っているのですが、幸いメンバー全員がこの研修の受講者なので、今後さらにチームで力を発揮して毎回忠実に徹底して、成功の再現性を高めていきたいと思っています。

MV社への今後の期待

組織として、どう仕組みにしていくか?今後は管理職がカギに。

小寺様:エデュケーションセンターとしては、九州販売支店のような研修後の良い変化を可視化できるよう、受講者に対する360度評価やオブザーブ上司へアンケート実施などをしています。その中で、「部下が主体的に考え取り組むようになった」、「目標意識・リカバリー・キーマン・バックキャスティングを意識するようになった」、「チームで共通認識が生まれた」、など、良い風土が組織内に広がってきていると感じています。ある受講者は、お客様から「突っ込みが厳しくなった」という評価をいただいたとのことで、期日や数字への粘り強さが増したと良い意味で捉えています。お客様からそんなお声をいただけるのは嬉しいですね。販目達成だけではなく、行動変容という意味でも、研修での学びが着実に現場で機能し始めていると感じています。
 
大河内様:ただ我々の組織はある程度年数が経つと上司も部下もローテーションしてしまう。現在は営業全体の受講比率は70%を超えてきましたが、今後ローテーションで大幅に人が入れ替わる可能性もあります。ここまで積み上げてきたことや、受講者が工夫し現場で生まれた大事な文化が継承されていくためにはどうしていくべきか?その仕組みづくりが今後の課題です。
そのためには、管理職層の理解とサポートが不可欠だと感じています。研修で実施したアクションプランシートや九州販売支店で生まれた週次分析シートも、考え方を管理職にインプットし、積極的に活用してもらう必要があります。今までの取り組みで生まれた良い事例などを踏まえ、実務にどう落とし込み運用しチェックしていくか?目標はこうやって立てるんだぞ、ということを語れる管理職が常にいる状態をどう作っていくか?この仕組化のサポートをMV社には継続して関わっていただきたいと思っています。
 
小寺様:またもっと要望を伝えると、エデュケーションセンターは貨物部門全体をスコープにしているので、海外に居る営業も対象としています。海外には海外の独特の営業体制があるので、そのまま日本での研修を踏襲するだけとは限りませんが、海外の営業強化をどのように推進していくかも、今後ご支援いただければと思っています。

その他の事例

その場の学びで終わらせない。研修効果の最短距離は、上司を巻き込んだ組織実践
成果に繋がった受講者が多い研修。とにかく、営業ゲームは良くできている。営業考動力は、組織的営業力を進化させる近道。
営業の醍醐味は熱意×戦略思考。国内外に通用する強い営業育成。
専門性の高いプロスキルと組織的営業力で、顧客のベストパートナーであり続ける。
事業成長に合わせ、人材育成もスピーディに標準化。すぐに行動変化が起きた、浸透度合いが非常に高い研修。
走りながら考えるのがKELの強み。考え方を仕組みで補強し、他社に負けない価値提供ができる営業を目指す。
「営業考動力」の定着を、会社成長の起爆剤に。アシストにとって、MV社は重要な営業体系化システム(役割)の一つ。
理系社長が見据える、次世代に向けた「営業を科学する組織」への変革。研修の考え方を基に、勝ちのシナリオを描く営業へ。
おかげ様で、日綜は本当に変わりました。今後はセカンドステージに向け、全社員でPDCAの自乗(PDCA²)へ。
強い現場、強い営業。部下に寄り添い、成果に繋げる。